三人家族になって
今年の8月5日、優しくて、ひょうきんで、可愛くて、ちょっぴり弱虫な私たちの息子、2才のKくんが我が家にやってきました。
初めての面会の日。「きょう、来たの誰?」と聞かれた息子は、
「パパとママ。」
と、とっても嬉しそうに答えてくれたそうです。
「私は何も言ってないのに、わかるんですね。すごく可愛かったんですよ。」と、担当保育士さんが教えてくれました。
他の友達には、パパとママが面会に来るのに、どうして僕には来ないのかなあと思い始めた頃で、「僕には?」、「僕には?」と何度も尋ねていたそうです。
スタートは順調でしたが、引き取り後、まもなく、試し行動と赤ちゃん返りが同時に始まった様子で、慣れないことも手伝って、やはり大変な日もありました。
大阪の家庭養護促進協会で養親講座を受けていましたが、息子の試しや赤ちゃん返りと思われる行動は、まさに教わったと通りに万遍なく展開されるのが、不思議で、面白いほどでした。
幸い、息子はなぜか一日おきに試し行動をしてくれたため、無条件に可愛いと思う日々も多く、乗り越えやすかったように思います。
息子のひょうきんさや、夫の子育て上手な大らかな気持ちに、救われたことも多かったです。
一緒に暮らし始めて二ヶ月と少しの私たちですが、その間に怖がりだった息子も、自信がついたのか、いろいろなことに勇敢にチャレンジできるようになりました。
以前は「こわい」、「危ない」という言葉が多く、やる前にあきらめていたことがうそのようです。
楽しい幸せな思い出も、たくさんできました。
初めて一人で、やっとのことでむいた巨峰を、惜しげもなく、
「はい。」
と半分くれた息子。
胸が一杯になって涙が出そうになった私です。
公園に座って、風船をふくらませている、そんな何気ない瞬間にもふつふつと胸にうれしさが込み上げてきます。
幸せってこういうことなんだ・・・・・・と、そのふつふつ感をその度にかみしめています。
外泊実習の後、私が帰るのについて行きたかったのでしょう。履けないはずの靴を何とか一人で履いて、ベビーホームの玄関で待っていてくれましたね。
あのいじらしかった姿・・・・忘れません。
「楽ちいね。」と笑顔でよく言ってくれるKくん。
三人で幸せになろうね。
N.Y さん
2001年12月「愛児」22号より